新潟県の妙高焼(みょうこうやき)は、昭和時代に開窯された比較的新しい窯であり、特に陶芸家・高井 進(たかい すすむ)氏の活動によって知られるようになりました。
妙高焼は、その名の通り、妙高山の麓を主な拠点として作陶されており、地元の土や自然の景観を活かした作風が特徴です。
天目釉の光沢という華麗な技術と、地元の土の素朴さという両極の美しさを併せ持つ陶器と言えます。

産地
新潟県妙高市
主な特徴
曜変天目への探求(曜光茶碗)
妙高焼の最も際立った特徴は、中国古陶磁の最高峰である曜変天目(ようへんてんもく)の神秘的な光彩を追求した作品群です。
  • 技法: 高井氏は、天目釉(鉄釉)を用い、窯の中で釉薬を溶融させる際の偶然の変化(窯変)をコントロールすることで、釉面に虹色の油滴状の斑紋光沢を出現させる技術に長けていました。
  • 作品名: この天目の技法を用いた作品群を、高井氏は特に「曜光茶碗(ようこうちゃわん)」と名付け、精力的に制作しました。
人間国宝の技術と青磁
創始者の高井進氏は、人間国宝である三浦 小平二氏に師事した経緯から、青磁の技法にも通じています。
  • 青磁: 釉薬の成分と焼成方法により、青みがかった透明感のある釉調を特徴とする青磁の作品も制作されています。
地元の風土を活かした素朴な作風
妙高焼は、その名の通り、妙高山の麓という自然豊かな環境で作られています。
  • 地元の土: 妙高周辺で採れる粘土や素材を活かし、地元の風土に根差した素朴で力強い器も制作されています。
薪窯(登り窯)での焼成(一部の窯元)
妙高市には、薪窯(登り窯)で焼成を行う窯元も存在し、炎の力による自然な火色(ひいろ)や、薪の灰が溶けた自然釉を特徴とする、越後焼としての側面も持っています。