李朝陶磁器(りちょうとうじき)とは、朝鮮王朝時代(1392年〜1910年)に朝鮮半島で制作された陶磁器の総称です。
朝鮮王朝前期には、灰色系の陶土に白い化粧土を施す粉青沙器が発達し、その後は白い磁土に透明釉を掛けて焼成する李朝白磁が陶磁文化の中心となりました。
約500年にわたる王朝の中で、素朴で自由な粉青沙器から、端正な白磁、青花・鉄砂・辰砂による装飾まで、多彩な陶磁文化が展開しました。
- 産地
- 朝鮮半島
-
器の種類 器の種類の説明
陶磁器とは、陶器と磁器の総称で、粘土や陶石を成形し焼いた焼き物です。
一般的には、土器、陶器、炻器(せっき)、磁器の4種類に分けられます。- 土器
- 陶磁器の最古の形態で、素焼きの器物です。可塑性に富む粘土を原料とし、縄文式、弥生式、土師器、須恵器などが挙げられます。
- 陶器
- 粘土(陶土)を主原料とし、比較的低い温度(900~1200℃程度)で焼成されます。吸水性があり、ぽってりとした温かみのある風合いが特徴です。
- 磁器
- 陶石(長石や珪石などの石を粉砕したもの)を主原料とし、高温(1300℃以上)で焼成されます。吸水性がなく、硬く、叩くと金属のような澄んだ音がし、透光性があるのが特徴です。
- 炻器(せっき)
- 陶器と磁器の中間的な性質を持ち、陶土より鉄分を多く含む粘土を使用し、比較的高い温度で焼成されます。吸水性が低く硬質ですが、透光性はありません。
- 陶器
- 磁器
- 主な特徴
- 粉青沙器
- 灰色系の陶土に白い化粧土を施し、象嵌・印花・刷毛目・粉引などで装飾した陶器です。
朝鮮王朝前期を代表する陶器
粉青沙器は、高麗末期の象嵌青磁の技術を受け継ぎながら、朝鮮王朝前期に大きく発展しました。
白化粧の使い方によってさまざまな表情が生まれ、15世紀を中心に朝鮮各地で盛んに制作されました。
- 李朝白磁
- 白い磁土で器を作り、透明釉を掛けて高温で焼成した、朝鮮王朝を代表する白磁です。
朝鮮王朝を通じて作られた白磁
李朝白磁は、朝鮮王朝時代を通じて長く制作されました。
15世紀後半に官窯による本格的な生産体制が整うと、王室や官庁で使用される器を中心に発展し、その後は朝鮮半島各地へ広がっていきました。
- 青花・鉄砂・辰砂
- 白磁には、コバルトの青花、鉄顔料の鉄砂、銅顔料の辰砂などで文様を描いた作品があります。
白磁に広がった多彩な装飾
李朝白磁には無文の白磁だけでなく、顔料を使って文様を描いた作品もあります。
装飾 特徴 青花 コバルト顔料で青色の文様を描きます。日本では染付とも呼ばれます。 鉄砂 鉄を含む顔料で褐色から黒褐色の文様を描きます。 辰砂 銅を含む顔料を用い、赤色系の発色を表します。 - 粉青沙器から白磁へ
- 朝鮮王朝前期には粉青沙器が広く作られ、15世紀後半以降は白磁が次第に主流となりました。
陶磁器の主役が変化
朝鮮王朝成立当初は、各地の窯で粉青沙器などが制作され、都へ貢納されていました。
15世紀後半に王室用白磁を生産する官窯体制が整うと白磁の生産が拡大し、粉青沙器は16世紀中頃までに次第に姿を消していきました。
- 日本の茶の湯との関わり
- 朝鮮半島で作られた茶碗の一部は、日本で井戸・三島・粉引・刷毛目などの高麗茶碗として珍重されました。
日本で茶碗として見いだされた器
朝鮮王朝時代に作られた器の一部は日本へ渡り、茶の湯の中で茶碗として高く評価されました。
日本では井戸、三島、粉引、刷毛目などさまざまな名称で分類され、後には日本側の注文によって朝鮮半島で制作された茶碗も登場します。
- 白磁に込められた美意識
- 装飾を抑えた白い器面と簡潔な器形を生かし、静かで端正な造形を特徴とします。
朝鮮王朝で好まれた簡潔な美
李朝白磁は、過度な装飾を避けた白い器面と簡潔な造形でも知られています。
こうした清潔で節度ある表現は、朝鮮王朝の支配層や文人が重んじた儒教的な価値観とも結びつきながら発展しました。
- 日本の茶の湯との関係
- 朝鮮半島で作られた茶碗の一部は、日本で高麗茶碗として取り入れられ、茶の湯で珍重されました。
日本で茶碗として見いだされた器
朝鮮王朝時代の陶磁器の一部は日本へ渡り、茶の湯の中で高麗茶碗として高く評価されました。
井戸、三島、粉引、刷毛目など、それぞれの特徴に応じて日本独自の名称や分類が生まれています。