温泉津焼(ゆのつやき)は、島根県大田市温泉津町で製作されている陶器です。江戸時代に始まり、かつては巨大な水がめの産地として全国に知られました。現在では、民藝運動の流れを汲んだ日常使いの器が主に作られています。
温泉津焼は、素朴で温かい手仕事の温もりを感じさせながらも、頑丈で使いやすい、まさに「用の美」を体現する焼き物です。

産地
島根県大田市温泉津町
器の種類 
  • 土器
主な特徴
堅牢な陶器(炻器に近い)
  • 原料: 耐火性の高い石見粘土を使用しています。
  • 焼成: 1300℃という比較的高温で焼成されるため、硬く焼き上がり、割れにくいという特徴があり、日用食器として非常に耐久性に優れています。
釉薬と文様
  • 来待釉(きまちゆう): 鉄分を多く含んだ地元の粘土から作られる飴色(あめいろ)の釉薬(来待釉)が伝統的に使われます。
  • たれ模様: 伝統的な「はんど」に見られる、飴色の上に黒色の釉薬が流れて垂れたような模様が特徴的です。
  • 現代の色彩: 現在の窯元では、温かみのある青(呉須)赤(辰砂)など、日常使いしやすいモダンな色彩の器も制作されています。
  • イッチン模様: 森山窯が得意とする、やわらかな盛り上がりのある線で図柄を描く「イッチン模様」など、窯元独自の技法も見られます。
日本最大級の登り窯

温泉津の「やきものの里」には、かつての名残として、全国でも最大級とされる巨大な登り窯(長さ20m、10段など)が復元・現存しており、一部の窯元では今も年に数回、この登り窯を使って焼成を行っています。

窯元(主に過去にお取り扱いした作品の窯元を掲載)
温泉津焼について詳しく説明しているサイト (外部サイトに遷移します)