伊賀焼(いがやき)は、三重県伊賀市(旧伊賀国)を中心とする地域で生産される陶器で、特に安土桃山時代に豪放で力強い茶陶として発展しました。隣接する信楽焼(しがらきやき)と兄弟のような関係を持ちながら、伊賀焼はより作為的で破格の美を追求した点が特徴です。

産地
三重県伊賀市(旧伊賀国)
器の種類 
  • 陶器
主な特徴
荒々しい土味と高い耐火性
この土は耐火度が非常に高く、「伊賀の七度焼」という言葉があるように、高温で長時間何度も焼成する(焼き締める)ことが可能です。土鍋が有名なのもこの耐火性の高さによるものです。
原料:
400万年前の古琵琶湖層から採れる、粗い粒子や小石、有機物を含む粘土を使用します。
気孔:
土中の有機物が焼成で燃え尽きることで、土の中に無数の細かな気孔ができ、これが保温性に優れる理由ともなっています。
豪快な窯変(ビードロ、焦げ、緋色)
伊賀焼は釉薬をほとんど使わず、高温で長時間焼成することにより、窯の中で起こる自然な変化を「景色」として最大限に活かします。
ビードロ:
降りかかった薪の灰が高温で溶けて、器の表面に緑色や黄緑色のガラス質となり流れ落ちた部分を「ビードロ釉」と呼びます。
焦げ:
薪や熾(おき)が器の表面に触れ、黒く炭化した部分を「焦げ」または「焦げ付き」と呼び、荒々しい景色を作ります。
緋色(ひいろ):
炎に晒されることで土の鉄分が赤く発色し、器肌に現れる淡い朱色の部分です。
破調の美と装飾(古伊賀)
桃山時代の伊賀焼(古伊賀)の茶陶には、当時の茶人や武将茶人の美意識が強く反映されています。
歪み(ゆがみ):
意図的に轆轤(ろくろ)の形を崩したり、手を加えて歪ませたりする、破格の造形が特徴です。

耳:
水指や花入に、装飾的、あるいは実用的な取っ手として**一対の「耳」**が付けられることが多く、これが信楽焼との大きな違いを示す「伊賀に耳あり、信楽に耳なし」という言葉の由来にもなっています。
窯元(主に過去にお取り扱いした作品の窯元を掲載)
伊賀焼について詳しく説明しているサイト (外部サイトに遷移します)