粉青沙器(ふんせいさき)は、朝鮮王朝前期を中心に制作された陶器です。灰色系の陶土に白い化粧土を施し、象嵌、印花、刷毛目、粉引、掻落など多彩な技法によって装飾されました。

高麗青磁の技術を受け継ぎながら、より自由で素朴な表現へと発展したことが特徴です。日本では三島、粉引、刷毛目などの名称で親しまれ、茶の湯の中でも高く評価されてきました。

産地
韓国
器の種類 
  • 陶器
主な特徴
白化粧が生む柔らかな表情
灰色の土に白い化粧土を施すことで、白磁とは異なる温かみのある白が生まれます。

真っ白ではない「白」の魅力

粉青沙器の大きな特徴が、灰色系の陶土に白い化粧土を施すことです。

白磁のように均一な白ではなく、下の土色がうっすら透けたり、化粧土の濃淡や流れが残ったりすることで、柔らかく温かみのある表情が生まれます。

自由で大胆な装飾
白化粧を塗る、押す、彫る、削る、描くなど、多彩で勢いのある装飾が魅力です。

白化粧から生まれる多彩な表現

粉青沙器では、白い化粧土の使い方によって作品の印象が大きく変わります。

技法特徴
象嵌器面を彫り、その部分へ白土などを埋め込んで文様を表します。
印花花や文様の印を繰り返し押し、白化粧を組み合わせます。
刷毛目白化粧を刷毛で勢いよく塗り、刷毛跡そのものを景色として生かします。
掻落白化粧の一部を削り、下の土色との対比で文様を表します。
鉄絵白化粧の上に鉄絵具で草花や魚などを伸びやかに描きます。
大らかで生命感のある造形
歪みや化粧土の流れまで味わいとなり、手仕事の勢いを感じさせます。

整いすぎていない美しさ

粉青沙器には、少し歪んだ器形、白化粧のむら、刷毛跡、釉薬の流れなど、手仕事の痕跡がそのまま残る作品が多く見られます。

均一に整えることよりも、作り手の手の動きや土の表情が感じられる、大らかで生き生きとした姿が粉青沙器ならではの魅力です。

朝鮮王朝前期に発展
高麗青磁の技術を受け継ぎ、15世紀を中心に朝鮮王朝前期を代表する陶器へ発展しました。

高麗青磁から新しい表現へ

粉青沙器は、高麗末期の青磁制作で培われた象嵌などの技術を受け継ぎながら、朝鮮王朝前期に大きく発展しました。

青磁の端正で洗練された美とは異なり、白化粧を大胆に使った、より自由で力強い表現が生まれていきます。

日本の茶の湯との深い関係
三島・粉引・刷毛目などは日本で高麗茶碗として親しまれ、茶の湯で高く評価されました。

日本で見いだされた新しい美

粉青沙器の一部は日本へ渡り、茶の湯の世界で高く評価されました。

日本では、印花や象嵌を施したものを「三島」、全体を白化粧で覆ったものを「粉引」、刷毛跡を生かしたものを「刷毛目」などと呼び、高麗茶碗の一種として親しまれています。