鉄絵陶器(てつえとうき)とは、鉄分を含む顔料で陶器の素地に文様を描き、焼成によって黒、茶褐色、黄褐色などの落ち着いた色調を表す陶芸表現です。鉄絵は、器の表面に筆や筒描きなどで文様を描き、土や釉薬とともに焼き上げることで、陶器ならではの温かみのある表情を生み出します。

花や鳥、草木、幾何学文様などを題材にした作品が多く、壺、花器、鉢、皿、茶碗、陶板などに用いられます。陶芸家・田村耕一氏は、1986年に重要無形文化財「鉄絵陶器」保持者、いわゆる人間国宝に認定され、この分野を代表する作家として知られています。

産地
岐阜県、愛知県、京都府、滋賀県、栃木県、佐賀県 など
器の種類 
  • 陶器
主な特徴
落ち着いた色調
鉄分を含む釉薬によって、黒、茶褐色、柿色、飴色などの深みのある色が生まれます。派手さよりも、土と釉薬がなじんだ落ち着いた表情が特徴です。
釉薬の流れ
釉薬の厚みや焼成の状態によって、器面に自然な流れや濃淡が現れます。同じ鉄釉でも、窯の中の状態によって作品ごとに異なる景色が生まれます。
窯変の景色
焼成温度や酸化・還元の違いにより、色合いや表面の表情が変化します。結晶、にじみ、焦げ、艶の違いなども見どころになります。
茶陶との関わり
天目、柿釉、飴釉、黒釉など、茶碗や壺、花器、酒器に用いられる表現が多く見られます。静かな色調は、茶の湯の器とも相性のよい特徴です。